穴窯の魅力②ー炎との対話ー

陶芸家の藤田さんから南房総で作品を焼いていますとのご連絡を頂いた昨年末。これは行くしかない!と、うちの農園から車で20分位のところの”平群”という地区にある藤田さんの窯を訪ねました。

窯に近づいていくと、太くてどっしりとした煙突から紅い炎がでているのが見えます。

出迎えて下さった藤田満さん(左端)、藤田純子さん(中央)とスタッフの方々です。昼組と夜組の2班で交代しながら、5日間ずっと休みなく薪を焼き続ける大変な作業を行っていました。

うず高く積まれた薪に囲まれた中に、穴釜がありました。この穴窯の中で作品が焼かれています。

使われている薪は、信楽から取り寄せた赤松の薪を主体に、地元の山から切り出した薪も用いているとのこと。

藤田さんの陶器の魅力は、これらの薪が燃えてできた灰が付着して器の素地の珪酸分が溶けてガラス化した自然釉の美しさ。

この自然釉の美しさを引き出すために、窯の中の状態を見極めながら、薪を投入して行く行程がすごいのです。

穴釜の中に設置された2個所の温度センサーの値に加え、穴窯の脇にある火吹き穴の炎の様子と・・・、

さらに、屋外に設置された大きな鏡から見える、外の煙突の炎・煙の様子を観察しながら、薪を投入するタイミング(大体5分に一回)と一回投入するのに必要な薪の種類と量を決定していきます。

まさに”炎”と対話しながら、薪をくべる作業を繰り返し繰り返し行っていました。その記録を藤田さんが逐一ノートに記しているのが印象的でした。このような記録を蓄積して、今後の作品作りに活かしておられるのでしょう。

薪を投入する際も、投入口の扉をすばやく動かして、できるだけ外の空気を窯の中に入れないように注意します。

私たちが訪れたのは、窯焚きが始まってから3日目の頃。窯の中の温度は1200℃を超えており、投入口の扉が開くと、離れていても中の熱気が迫ってきます。

最終的に1300℃まで穴窯の中の温度を上げるそうです。4日目、5日目の頃になると、10℃の温度を上げるのにもとても労力がかかるそうで、ピリピリと張り詰めた雰囲気の中で作業をしていくそうです。とても根気のいる作業です。

このような貴重な機会を与えて下さった藤田さん、本当にありがとうございました。

このような膨大な作業の結果から得られる陶器。

このような陶器が似合うような空間を作っていきたいなと思います。

コメント

  1. 冬将軍 より:

    穴窯はまさに土と火の芸術ですね。

    相方のいっている陶芸教室でも年に何回かやっていて、
    見に行ったことがあります。

    温度管理が非常に大変なようで、この上げ下げが焼き上がりが
    がらりと変わってしまうみたいですね。
    そんなわけで、数日続く窯焚き中は目が離せないようですが、
    昼夜交代で行う火の当番もまた楽しみの一つみたいですね(^^)

    そんな穴窯の作品は同じものは一つもなく、どれも奥深い
    個性が光っていて、いいものですよね。
    狙いと違ってもまたそれが魅力に・・・

  2. ほんまる より:

    冬将軍さん

    穴窯の作品って本当に奥深い魅力がありますね。

    温度管理の大変さは、ちょっと見学させて頂いただけでも、伺い知ることができました。

    いつか、冬将軍さんの奥さんみたいに、自分で作品を焼いてみたいですね!!

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